GKというポジションはルール上ピッチに立てるのは一人だけです。それはあたりまえのことなのですが、この事実はサッカー経験者であればあるほど厳しいと感じることでしょう。
なにしろ他のポジションで使ってもらえる可能性がないGKだけに、レギュラーを勝ち取るためには正ゴールキーパーから奪う以外ありません。
なにより安定感を望まれるポジションであるだけに新しいGKを起用することはチームにとってとてもリスキーであり冒険なのです。
そんな状況で見事日本代表の正GKの座を獲得した川島永嗣選手に今回はスポットを当ててみたいと思います。
川島永嗣のプロフィール
身長:185cm
体重:80kg
埼玉県与野市(現さいたま市中央区)出身で小学校時代からキーパーを志望していました。本格的にキーパーを勉強したのは中学校からだそうですが、そのときには埼玉県選抜に選ばれて海外にも遠征に行っています。
その後埼玉県立浦和東高等学校に進学。勉強がものすごいできたらしいのですが、プロ入りを希望。残念ながら浦和レッドダイヤモンズのセレクションには受かりませんでしたが大宮アルディージャに無事合格。
ここで余談ですが、川島選手の獲得を決めたのは、当時大宮の強化部長だった佐々木則夫さん(現サッカー日本女子代表監督)です。川島選手と佐々木則夫監督との意外な接点に私もびっくりしました。
大宮アルディージャ→名古屋グランパス→川崎フロンターレ→リールセSK→スタンダール・リエージュという流れで移籍してきた川島永嗣選手ですが、実はもっと大きなクラブからも声はかかっています。
しかし、本人は試合に出られることが前提条件にあるようで断っています。
これは名古屋グランパスの時代に楢崎選手から完全にレギュラーを奪いきれなかったことによる試合勘の鈍りを感じたためかもしれません(推測ですが…)
私もビッグクラブの控えより少しランクが落ちても試合に出られるクラブのほうがメリットが高いと思います。
事実、リールセSKに行ってから川島選手は試合ごとに成長していき、不得意であったポジションニングやハイボールも克服しつつあります。
川島永嗣の長所
高い語学力
これは有名ですね。川島選手は英語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語は日常会話レベルに話せ、オランダ語、フランス語を勉強中とインタビューで答えています。
学生時代から勉強熱心で成績も良かった川島選手は趣味に語学の勉強と答えています。
でも通訳つくんでしょ?サッカーには関係なくね?
そんなことありません。むしろGKにとって語学力はなにより大切なのです。
GKは試合中常にフィールドプレーヤーとコミュニケーションを取らなければなりません。ポジションニングやマークなど最も視野が広いGKが指示することでセットプレー時などもフィールドプレーヤーが迅速に対応できるのです。
しかし言語がわからないとコミュニケーションが円滑にできず、結果どんなにスーパーセーブを連発しようと使えないGKの烙印を押されます。
また語学力が高いことでチーム内の様々な選手と友好関係が築けます。これは非常に大きなメリットでチーム内で認められなければ指示を出しても誰も聞いてくれませんが、仲良くなることでより質の高いコンビネーションができるようになります。
この語学力の問題があるからこそ未だに多くの日本のGKは海外のチームに移籍できないでいるのです。
それを考えると移籍のずっと前からあらかじめ世界の主要な語学を勉強していた川島永嗣選手は素晴らしいという他ありません。
優れた判断力
GKに最も必要な能力。それはスーパーセーブを連発する身体能力…ではありません(あればなおいいですが)。
それは安定感です。
GKはミス=即失点の11人中最も過酷なポジションです。考えてみてください。FWがミスを連発しても負けませんし、そのミスは大抵一ヶ月後には皆忘れています。しかし、GKのミスは即負けにつながり非難を浴びそれはいつまでも記憶に残っています。
当たり前のことを当たり前にできること。それがとても大切なのです。
川島永嗣選手は現在の日本のGKでは最も安定感があるでしょう。
特にここ一年で急成長しました。以前は危なっかしい場面もありましたが、最近はとても少なくなりました。
その秘密はスタンダール・リエージュのGKコーチのヨス・ベックスにあるようです。
詳しい話は省きますが、彼のもとで熱心にトレーニングに励んだ結果彼は生まれ変わりました。不調な時が嘘のように今じゃ『マン・オブ・ザ・マッチ』の常連です。
その好調を支えているのが、優れた判断力です。彼の頭の良さに関係があるかどうかわかりませんが、とにかく判断が早く適切な印象があります。
例えば、シュートが来ます。キャッチングなのかパンチングなのか、弾くならその方向はどこにするのか、ライン外に出すのか、キャッチングならその後誰に出すのか…などシュート一本とってもその判断にはいろいろあるわけです。
その判断が川島永嗣選手は上手いのです。
これはDFは安心ですよ。
川島永嗣の短所
一番の欠点はポジションニング…だと思います。
でもこれ最近本当に治ってきてるんですよ。以前は代表戦でも出すぎて抜かれるシーンも多かったですが、最近は特に安定感出てきていますから。
でもこれ川島永嗣選手を養護するわけじゃありませんが、なかなかむずかしい。特に代表戦みたいにDFがコロコロ変わると連携とりづらいと思いますよ。
そんなこと行ってたらW杯とかやばいんですけど。
あとは体が小さいですね。これはどうしようもありませんが…。
185cmはGKでは正直普通です。むしろ世界レベル基準では少し小さいです。これはハイボールはキツイです。事実以前はハイボール処理をミスってたりしました(技術の問題もありますが…)。
サッカーでは身長が高いことは必ずしも良いことではありません(メッシ~)が、GKに関して言えば高いほうが有利です。
しかし川島選手本人はそんなこと百も承知でそれを補うために体鍛えまくってます。筋肉えらいことになってます。
何にせよ今のところ川島永嗣選手が正GKなのは間違いないので、管理人は大いに期待しています。
それにしてもアジアカップのPKは感動しました。
