ハリルホジッチジャパンこのままじゃ勝てない?
前回はハリルホジッチ監督の良いところを書きました。
https://nyu-su01.com/1570.html
今回はその反対の悪いところ、弱いところです。
これは厳密には監督だけの責任ではなく、協会やスポンサーの考え方なども入ってきますので、一概にハリル監督がダメとは言えないのですが、実際の問題として今のサッカー日本代表には問題があると私自身は強く感じていますので、それを解説していきます。
ハリル監督は型にはめすぎる
ハリルホジッチ監督のミーティングや指示はとにかく細かいです。代表選手にはDVDや資料を送り、可能な限り自分の頭の中にある戦術や理論を選手に浸透させ、それをチーム一丸になって実践していくことを目指しています。
ミーティングが長すぎて長谷部選手がもっと短くと提言した話は前回も書きましたが、それは選手だけにとどまらず、スタッフやマスコミにまで及びます。会見も長いですよね。(そしてキレてます)
これらのハリル論の浸透作戦は、選手間の戦術認識や相互共通理解を生み出しインテリジェンスを高め、ゲーム中も自分が何をすべきかが明確になるメリットがあります。
しかしハリル監督の場合は少し細かすぎるというか型にはめようとしすぎているように感じます。
日本代表の試合を見るにあまりにも選手への決め事が多く、皆が縮こまってそれを守ろう守ろうとしている印象を強く感じるからです。そしてその決め事の中で縮こまった選手たちは不測の事態で閃きを発揮することができていません。
確かに日本人は海外選手に比べ個の創造性溢れるクリエイティブなプレーより組織力で勝負してきた背景があります。実際日本の選手に自由にやっていいよと言われて輝ける選手は少ないとも思います。
しかし実際にピッチ上にいる選手にしかわからないことがあります。監督の指示を頭に置きながらも状況ごとにチームが柔軟に連動していかなければなりません。
本当の意味でのインテリジェンスとは状況に応じた判断力の高さ、早さを生み出すもので、ロボットのように決められたことを遂行することではありません。
実際失点シーンを見ても普通ならしないようなスライドでマーカーを見失ったり、中盤でのとりどころがごちゃごちゃになって結果スペースを与えてしまったり、自由な紅白戦なら阿吽の呼吸でうまくできそうな場面なのになんでだろうということがあります。
経験豊富な海外組も増えてきている中、決め事を絞りピッチ上の選手をもう少し解放してあげてほしいです。
モチベーションの上げ方と理想の上司像
今の日本代表選手とハリルホジッチ監督との信頼関係は私はベストだとは思いません。上記の型にはめるサッカーもそうだし、それ以外の部分でも選手と良い関係が築けていると感じられる部分が少ないのです。
私は一般人ですのでどうしてもメディアを通して各選手やハリル監督を見ることになるのですが、マスコミのワイドショーやスポーツ新聞のそれとは違いインタビューだけはオブラートに包まれていたとしてもその時の心情が出てしまうものだと思っています。
そのインタビューがどうにもピンとこない。特に就任直後よりも状況が悪くなっている(戦績だけではなく)現在、信頼関係のほころびがインタビューにも出始めているように感じます。
例えば、、、
・〇〇は何番につけという監督からの指示が…
・もっと〇〇しなければならなかったが今日の状況では…
・監督が選手を名指しで批判(激励?)。〇〇が〇〇ならば勝てた…
などです。ぱっと見は別に大げさじゃない?と思われるかもしれませんが、インタビューでたらればがでたら黄色信号です。
付け加えるなら私は監督がインタビューで個人の選手批判をしたらお終いだと思っています。
なぜならその選手を選んだのは他でもない監督ですし、パフォーマンスが悪ければ交代すればいいのです。
理想の上司は部下を心から信頼し、果敢にチャレンジさせ、結果に対して責任を負うものです。
選手からの求心力は絶対になくてはなりません。そのあたりのマネジメントを改善できなければ先程のハリル監督の哲学やルールの遵守も逆効果になるのではないでしょうか。

采配やベンチワークのセンス
私はハリルホジッチ監督の采配は最悪ではないがベストでもないと思っています。
巷でのハリル監督の采配についていろいろ疑問が出ていますが、その内容を整理するとともに、私の考えを書いていきます。
なぜJリーグで結果を出している選手を使わないのか
招集された国内組を積極的に使わない(そう見える)という問題ですね。
実際その選手のファンとしては招集されているのに使われないと腹が立ちますよね(わかります)。
しかし私はここはあえて試合だけで判断しているわけではないですよと言いたいです。
例を出すと、代表に合流して一緒に練習します。その際にハリル監督だけでなくコーチ含めた様々なスタッフが周りとの連携やコンディション、態度などを見ます。
その際に即席の日本代表というチームにどれだけフィットしながら自分の能力を発揮できるかが試されるのです。
・周りの選手と大きな声で常に意思疎通できるか。
・十分に戦術を理解して自分の役割をわかっているか
・チームでの決め事を守りながら自分の長所を出せるか
・海外組や相手国に物怖じせずにぶつかれるだけの心身の準備が整っているか
・日本を代表して戦うという覚悟があるかどうか
などです。これらは確かに試合でしかわからないこともあれば残念ながら練習の時点でわかってしまう選手もいます。
そんな選手を招集することが問題と言われればそれまでですが、その場でしか判断できないことがあるのも事実です。
海外組はこのあたりのフィジカルやメンタルの調整がうまいです。サッカーに携わる上での総合的な経験値が高く常に新しい選手が入れ替わるチームにおいて存在感の出し方をわかっているのです。
それらのことがハリル監督の信頼につながっているのは間違いありません。

選手交代のタイミングが遅い
これはおおむね同意です。
試合によりますが、交代が遅すぎる場合が結構あります。明らかに足が止まっている選手がいるのにも関わらず。誰が見たって代えてやれよと。
これについてハリル監督を少しだけ擁護するなら、選手交代というのは諸刃の剣で、それによって戦術がガラッと変わります。
つまり同点や勝っている状態での選手交代というのは非常にデリケートなのです。また選手交代直後はフォーメーションも安定せず変更した戦術の共通理解も定まらない状態なので相手に狙われやすいのも間違いありません。
だから監督としてもチームが60~70点の状態だと躊躇してしまうんですね。
しかし私はそれではダメだと思っています。選手は全身全霊で勇気を持って戦っています。ならば監督も勇気を持たなければなりません。
自分が招集した選手を自信を持って送り出す。そしてその交代を見た選手たちが監督の意図を理解し細かい指示なしでも全員が戦術を共通理解し一丸となって戦う。そして勝つ。
監督がビビってはダメです。現状維持よりチャレンジ精神。我々はまだチャレンジャーなのですから。
縦に速いサッカーができていない
今の日本代表=縦に速いカウンターサッカーと本気で思える人は何人いるだろうか。
私はまだまだできていないと思っています。
その原因はずばりビルドアップにあります。日本はDFラインで得たボールをとにかく前に運べません。これにはいくつか原因があります。
ロングボールの精度がない
これを言ってしまうと元も子もないのですが、ロングパスの精度が低いです。これは出し手も受け手も問題ありです。
まず日本ではボールを蹴る練習が圧倒的に不足しています。それがショートパスができてもロングパスやシュートの精度低い大きな理由です。思ったところに思ったボールを蹴られることの重要性を元日本代表の岡田監督も語っていました。
また受け手も最初のワンタッチでのボールの置き方や運び方、体の向きなどが前に前にという意識が欠けています。どうしたら前を向けるかという部分において海外の強豪国とはハッキリとした差があります。
このあたりは育成の話になってきますし、選手個人の技術力も関わってきますので多くは語りません。(急にはうまくならないですからね)
判断力の遅さ
パスを受けて顔を上げて、あ!あそこ空いてるな、そーれ。
では遅いです。
Jリーグのリズムと海外サッカーのリズムが違うように国際試合では相手からのプレッシャーとても速いです。そんな中でルックアップしてから悠長にパスコースを探す時間はありません。
自分がパスコースに顔を出した瞬間には次の行動の選択肢が頭に浮かんでいないといざボールを受けた時に潰されてしまいます。
ハリルジャパンの求める縦に速いサッカーを実現するためには正確なビルドアップをする必要があり、それをするためには素早い判断ができないと難しいということですね。
素早い判断からの正確なキック!手数を少なく前にボールを運ぶのは大変です。
シュートで終われない
では後ろからカウンターを仕掛けるとして、その時には最終DFラインは絶対にあげなくてはなりません。そうすることでチーム全体をコンパクトに保てるし攻撃の厚みも増してよりカウンターの成功率をあげられるからです。
しかし今の日本代表はカウンター後にシュートで終われないことがとても多い。ミドルシュートを打てる選手がいないこともそうですし、とにかくシュートまでたどり着けずそのまま相手にボールを奪われてしまいます。
するとDFはラインを上げきることができず、また守りに入らなくてはなりません。
私はDF、MFをやっていましたが、このなんの成果もないラインの上げ下げは本当にスタミナが削られます。せめてシュートで終わってもらえれば陣形を整えられるのですが、途中でとられたときの往復運動は自軍のカウンターでポジションは崩れているのでスペース埋めるの大変ですし、常にめちゃくちゃダッシュです。
これが続くとどうなるかというとDFラインが上げられなくなり常に下がっちゃいます。すると全体が間延びして中盤との間にスペースが生まれ中盤を支配されるます。
特に後半足が止まってくるともうだめですね。(そしてこんな時こそ交代カードを切りチームの状況を変えなければならない)
ミドルシュートを打てないことも問題です。ミドルが入らないにしても相手に怖さを感じさせれば、相手DFを引き出すことができますのでより引いた相手にも攻めやすくなりますので。
ハリルジャパンの悪いところまとめ
一口に縦に速いサッカーと言っても様々な要素がクリアできないと今の日本代表には効果的に実践するのは難しいと思います。
しかし今はあくまでも種を撒いている段階とするなら、今後に向けて強豪国相手に負けないサッカーを構築するのは決して間違いではないとも思います。
そして結果が出ずにハリルホジッチ監督解任でもいいかと思いますが(オイ)、協会が今のハリルホジッチ監督が撒いた種を土壌ごとひっくり返してまた種を植え替えるような監督の人選だけはしないでほしいなと強く願います。
それではこのへんで。